1988年6月、私が21歳のとき、世界的なクライマーであった田部井淳子さん、山田昇さんらとともに、北米大陸最高峰マッキンリー(現・デナリ)に挑みました。2人からの勧めを受けて、登頂の先にさらに、日本人として初めて(世界で2人目)、山頂から最大斜度50度のレスキューガリー(Rescue Gully)を経て、ランディングポイントまでの全行程をスキーで滑降する挑戦に成功しました。
その麓にあった、入山手続きをする事務所の重厚なログハウス。自然と共に在るその佇まいに、私は心を奪われました。
帰国後、父が事故で重度の障がいを負い、家族は大きな転機を迎えました。父の介護のために自宅の建て替えが必要となった時、私が選んだのは、あの北米で出会ったログハウスでした。建築の知識も経験もない中、本を片手に、友人達の手を借りてつくりあげた一棟のログハウス。それは家族の幸せを再生する「場」であり、私たちの人生を支える「根=Roots」となりました。
この経験こそが、Roots工務店の原点です。